QOLを保つこと

近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠

がんは自覚症状もなく検診で見つかったような場合は、ほとんどががんもどきですから、わざわざ手術する必要はありません。
本物のがんの場合は、切り取っても転移が出てくるので、手術する意味がありません。
手術をするとQOLが低くなるし、かえって命を縮めてしまうから、本物のがんでもがんもどきでも、手術はしないで放置するのが最善の方法です。

では、痛い、苦しいなどの自覚症状が出た場合は、どうすればいいのでしょうか。
少し出血するくらいの、ちょっとした症状ならば特に何もする必要はありません。
その症状があることで、QOLが低下してしまうような場合は、対処法を考えます。
また、がんが大きくなって、その臓器の機能が損なわてしまうときには、臓器の機能を保つための対処法を考えます。

たとえば大腸がんは、がんが大きくなるとガンが腸を塞いでしまって、腸閉塞になることがあります。
腸閉塞はとても苦しいので、それを解消する方法を考えます。
方法はいくつかあって、詰まっている部分を切り取って、その前後をつなげるのが1つ。
人工肛門を作るのが1つ。
最近では、大腸ステントという金属製の網を入れて、その中に便を通すようにする方法もあります。