高齢者が食事を摂らないということ

寿命が尽きる2年前 日下部羊

高齢者が食事を摂らなくなると、ほとんどの家族が心配して、なんとか食べさせようとそます。
家族は、患者さんが食べ物を飲み込んだらOKと思うかもしれませんが、本当にそれでいいのでしょうか。

食べ物は飲み込んだ後、胃で消化され、小腸で吸収され、栄養分となって血液中に入らなければ意味がありません。
消化と吸収には相応のエネルギーが必要で、患者さん本人には負担になります。
点滴なら直接血液中に入るので、いいと思うかもしれませんが、各臓器がそれを利用する力がなくなっているから食欲がわかないのです。
力が残っていれば、自然と食欲がわきます。
それを点滴などで無理やり補ったら、心臓と腎臓に負担がかかって、本人を苦しめるだけです。

食べたくないというのなら、自然に任せるのがいちばんです。
いったん体が死に向かい始めたら、死に抗うのは無駄であるばかりか、当人を苦しめることが少なくありません。