死の予兆

寿命が尽きる2年前 日下部羊

生きている患者さんの確実な死の予兆は、下顎呼吸と呼ばれるもので、昏睡状態になったあと、途切れ途切れに下あごを突き上げるような呼吸になります。
これが出ると、どんなことをしても死を押しとどめることはできません。
知らない人には、苦しそうに見えるかもしれませんが、本人は意識がないので苦痛は感じていないはずです。

もう少し早い死の予兆としては、血圧の低下と尿量の低下がありますが、これもせいぜい数日前にしか起こりませんから、死の長期予想には使えません。
血圧低下と尿量減少は、心臓や腎臓に寿命が近づいていることを示すものですから、強心剤や利尿剤の投与は、弱っている体に鞭をくれるようなもので、逆に死を早める危険性があります。

老衰死では、胃ろうなどの延命治療を施さず自然に任せた場合、口から全く食事を摂れなくなってから数日から1週間以内に旅立たれることが多いと言われています。