高度進行がんの場合は無理な切除はしない

私はがんで死にたい 小野寺時夫

再発ガンを含めて、高度進行がんは無理な切除をしないで、通過障害がある場合はバイパス手術だけにし、胆管や尿管の狭くなった部分にはステントを入れる方法などが安全で有効な場合が多いのです。
大腸がんや直腸がんで周囲への浸潤が強い場合や多発性肝転移がある場合は、原則として原発がんの切除は益がありません。
腸の通過障害による腸閉塞を起こしても、無理にがん切除をしないで腸のバイパス手術や人工肛門を作るだけにとどめる方がよい場合が多いのです。

患者さんによっては、放射線治療を加えるのが良い場合もあります。
無理にがんを切除するよりも、がんはそのままで臓器の機能を保ち、症状に応じて放射線治療を行い、痛みなどが出たら緩和するだけの方が長生きできる場合が多いのです。
特に高齢者では、ステントやバイパス手術だけで半年から2年以上も苦痛がほとんどなく生存する人が珍しくありません。