訪問介護費は無料で

なんとめでたいご臨終  小笠原文雄

ところで、どうして1か月42,466円で最期まで笑顔で暮らせる約束ができたのでしょうか。
元気なうちはお金はそんなにかかりません。
お金がかかるのは、歩けなくなってからです。
在宅ホスピス緩和ケアの場合、多くは寝たきりになったら3日、もって7日~10日のいのちです。
この間にかかる費用は介護ベッドやヘルパー、訪問診療代、薬代などです。
訪問介護費は交通費が少し必要ですが、おおむね無料です。
なぜ訪問看護費が無料になるかというと、がんやALSなどの患者さんは、訪問看護を介護保険ではなく、医療保険で利用しています。
70歳以上で低所得の中田さんの医療費の自己負担額は、月に最大8,000円と決まっていて、訪問診療代と薬代で8,000円を超えてしまうので、結果的に訪問看護費用が無料になるというわけです。

よく寝て、心と身体を暖めて、笑うことを約束したのは、在宅ホスピス緩和ケアならピンピンコロリと旅立てて、お金がかからないからです。
お金の心配がなくなり、大好きなお酒も飲めるようになった中田さんには、痛みを取るためにもってこいの処方がありました。
モルヒネワインです。
このモルヒネワインには、赤ワインにモルヒネシロップ、蒸留水をいれます。
モルヒネ効果で痛みが取れるのはもちろんのこと、大好きなお酒を飲める喜びが味わえて、アルコールの相乗効果でぐっすり眠ることもできるという優れものです。