経験よりも多くのことを学べるのが読書

明日この世を去るとしても今日の花に水をあげなさい  樋野興夫

20代のころから毎日30分間の読書を習慣にしています。
読む本は若いころからあまり変わりません。
内村鑑三、新渡戸稲造、南原清隆、矢内原伊作らの著書です。
読んで印象に残った個所には赤線を引きます。
赤線を引いた部分が、患者さんへの言葉の処方箋となります。

患者さんたちに「先生は怒ったり、困ったり、悩んだりすることはないのですか?」とよく聞かれます。
もちろん私にだってあります。
嫌なことや大変なこと、日々いろいろなことがあります。
でも、そうしたことは無頓着にすぐに忘れてしまいます。
正確に言うと「放っとく」ようにしています。

人間はみな同じです。
同じように怒り、悲しむ、悩む。
違うのはそのあとです。
怒ったり、悲しんだり、悩んだりした後にどんな反応をするのか。
そこにその人の器が表れます。

私は、自らの経験よりもずっと多くのことを読書から学んだと感じています。
いい友を求めようと思っても求められない人がいます。
同じように、人生の師を求めようと思っても求められない人がいます。
その点、いい読書は誰にでもできます。
よい師、よい友、よい読書=最後の最後に1人でできるのは読書です。