いつも怒っていたり憎んでいたら人は去っていく

明日この世を去るとしても今日の花に水をあげなさい  樋野興夫

末期がんの夫を最期まで献身的に看病し続けた奥さんが私に打ち明けました。
「治療の甲斐もなく、夫が旅立ってしまったことは悲しい。でも2人で最後まで必死にやってきました。ですから、そのことに悔いはありません。おかげさまでだいぶ気持ちの整理もつきました。ただ、1つだけ残念なことがあります。夫の口から『ありがとう』の一言が聞けなかったことです。最後に『ありがとう』と言ってくれたら、私はどんなに報われたことでしょう。いつもそのことだけが心残りです」

相手に何かをしてもらったら、一言、ポジティブなことを言う。
ほめるのが苦手な人は、それこそ歯を食いしばってほめてください。
たった一言でいい。それでおしまい。

末期がんで亡くなった男性もきっと「ありがとう」と妻をねぎらってあげたかったのでしょう。
でも難しく考えて、言う機会を失ってしまった。
私にはそのように思えます。

相手の気持ちや行動をありがたく感じているのなら、素直に「ありがとう」と口に出しましょう。
「ありがとう」が言えるようになったら、人間としての存在を認めましょう。
いつも怒っていたり、憎んでいたり、避けていたりしたら、人は去っていきます。
自分から積極的に相手を許していかない限り、ずっと1人ぼっちです。