温かい他人を探しに街へ

明日この世を去るとしても今日の花に水をあげなさい 樋野興夫

今は冷たい家族や冷たい親族に悩まされている人が多いから、人は温かい他人を求めています。
がん哲学外来やカフェに来られるのも、温かい他人を求めている人たちです。
誰でもいいから、自分に関心を持ってくれる人がいる人は強い。
がんになっても最後まで見捨てずにそばにいてくれる人がいるとがんばれます。

私が子供のころは、自分のことに関心を持ってくれる人が必ず1人はいたものです。
親類でも何でもない近所のおばさんが、私のことを「おきちゃん、おきちゃん」と呼んでくれて、「お母さん、この子は大丈夫だよ。学校を卒業したらきっと立派になるから大丈夫だよ」と私の存在を認めてくれました。

温かい他人は、自分の生活とは関係のないところに求めるといいでしょう。
仕事に疲れたら、同業者と語らうのではなく、異分野の人たちを探した方がいい。
職業が近いとジェラシーが生まれます。
今まで付き合いのなかったところに探しに行きましょう。
本当にいいものは街の中にあります。
積極的に探しに行けば、きっと誰かいい人が見つかるでしょう。
この広い世の中、あなたのことを想ってくれる人が1人はいます。
そういう人が1人でもいることで、私たちは強く生きられます。