治療はしないで自宅療養

なんとめでたいご臨終 小笠原文雄

余命8ヶ月と宣告されてから半年後の12月29日、花田さん(64歳 女性 すい臓がん)が小笠原内科の相談外来に来ました。
「先生、私は余命2ヶ月なんです。病院に不信感があるので、治療はしないで自宅療養をしています。でも、なんとなく心細くなってしまって・・・。ガン患者で結成された会があると聞いて申込に行ったら、私みたいな末期は入会できないて言われたんです。今後、どうしたらいいでしょうか?」
「そうですねえ。在宅ホスピス緩和ケアなら痛みが取れるから、最期まで朗らかに過ごされる方が多いですよ。3割の人に延命効果もありますし」

それから1か月以上が過ぎた2月9日、花田さんから電話がありました。
「痛くて動けません。娘に世話してもらっているので、娘の家に来てください」
娘さんの家に緊急往診した私は、すぐにソル・メドロールを注射しました・
ソル・メドロールという副腎皮質ホルモンは、人間が作る副腎皮質ホルモンと同じで約8時間効果が持続します。
だから朝は活発に、夜は穏やかにという人間らしいリズムを崩しません。

一方、多くの医療機関は利便性があり、約24時間効果が持続する別のものを使っています。
24時間も効果が持続するなんていいねと思われるかもしれませんが、前述のように8時間の効果でいいものを強引に24時間も持続させると、身体のリズムが乱れやすくなります。
そうなると、免疫力が下がるなど、副作用が出やすくなるのです。