気持ちを切り替えて

なんとめでたいご臨終  小笠原文雄

秋山さんは15年間、乳がんの治療を何もせず、がんを放置したので、がんが外に飛び出し目に見える状態でした。
多くの人は、がんが見つかった時点で治療を開始するでしょう。
手術ではどうにもできない状況になると、ほとんどの医師は抗がん剤を勧めます。
もちろん効果がある抗がん剤は使うべきですが、そうでない場合は慎重に考える必要があります。

がん細胞は、1㎤の大きさに10億個あると言われており。秋山さんのように大きくなると1兆個ものがん細胞が威張っています。
小さくても質の悪いがんもありますので、大きさだけでは判断できませんが、少なくとも、ここまで大きくなったガンに、抗がん剤で立ち向かうのは難しいと思います。
問題なのは、がんが身体の中に隠れて目に見えていない患者さんは、抗がん剤なら勝てると信じてしまうことです。
勝てる望みがあるのなら戦うことは必要ですが、手の施しようのない末期がんの人が、それでも戦い続けることが果たして幸せなのでしょうか。

もちろん、ただ諦めるのではありません。
がんと共に生きるのです。
残された時間を抗がん剤で苦しむのではなく、在宅ホスピス緩和ケアで朗らかに過ごす日々に変えることができます。
勝てない相手に挑んで最期まで苦しむのなら、早いうちに気持ちを切り替えて、残りの人生を笑顔で長生きできるように在宅ホスピス緩和ケアを選択するのも1つだと思います。