死に顔にもいろいろある

私はガンで死にたい 小野寺時夫

私は大勢の看取りをしてきました。
見取りに慣れてくると気持ちに余裕ができたこともあって、死に顔は一様ではなく、百人百様の表情があると感じます。
どういう性格の人がどういう人生を歩んできたかに加えて、助からないと分かってからの心情や終末期の緩和ケアの良否が関係していると思います。

穏やかな表情で亡くなる方は次のような人です。

高齢になり、自分の人生は悪くなかったと思っている人。
職種、お金、名誉、権力とは関係なく、やりがいを感じながら精いっぱい生きてきた人。
子・孫が大勢いる人。
奉仕活動を懸命にしてきた人。
死後に家族のことで心配のない人。
家族の愛情に包まれている人。

死に顔に不穏、悲しみ、無念さを感じる人の場合は次のような人です。

本人や家族がつらい病気の連続だった人。
懸命に生きてきたのに、仕事上で不運の連続だった人。
成長期の子どもをたちを遺して亡くなる親。
独身で通した男性。
家族関係に大きい問題のある人。
ギャンブルで破産し家族にも見放され、借金取りに怯えながら亡くなる人。