標準治療

近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠

芸能リポーターの梨元勝さんは、2010年8月、抗がん剤治療の末に65歳で亡くなりました。
たった2か月の入院生活の間に、ふくよかだった顔も体もやせ、髪の毛は抜けて最後の方は本当に痛々しい姿でした。
死因は肺がんと発表されましたが、僕は梨元さんは肺がんではなく、抗がん剤のせいで亡くなられたのだと思います。

梨元さんは2010年6月に、肺がんであることが判明しました。
咳が止まらず、入院して詳しく調べたところ、がんが見つかったのです。
梨元さんのがんは進行の速いタイプで、この時はすでに最も重いⅣ期でした。
医者は奥さんと娘さんにだけ「抗がん剤を使わなければ2,3か月しかもちません」と説明したそうです。
しかし、これは全くのあてずっぽう。
抗がん剤治療を受けさせるための脅しです。
その人があとどれ位生きるなんて、ちょっと診ただけではわからないのです。
医者はまた「抗がん剤治療をしないなら、ほかの病院にどうぞ!」と言い、セカンドオピニオンを勧めたそうです。
セカンドオピニオンを勧めたのは、ほかで聞いても同じことを言いますよということでしょう。

実は、以前は「セカンドオピニオンを聞きたい」と言うと、嫌な顔をする医者が多かったのですが、今はそうでもありません。
「どうぞどうぞ」と言われることが多い。
なぜかというと、「標準治療」と呼ばれる診療方法のガイドラインがあって、どこの病院でもそれに従って、同じような治療をしているからです。