本当にいいものはタダ

明日この世を去るとしても今日の花に水をあげなさい 樋野興夫

本当にいいものはゴミ箱の中にあります。
お金がかかったり、どこか遠くまで行かないと手に入れられないようなものは本物ではありません。
本当にいいものはタダです。
値段の高いものは本物ではありません。
本当にいいものは誰でも手に入れられる。
これが世の中の原理原則です。

お金がある人はお金を出して「いい」と思うものを買えばいい。
でも、お金がないからといって、本当にいいものが手に入らないかといったらそうではない。
なぜなら本当にいいものはタダなのですから。

もちろん作られた物に対してはお金を払わないといけません。
たとえば薬がそうです。
でも、私ががん哲学外来で患者さんたちに出す「言葉の処方箋」はタダです。
それでいて副作用はゼロです。
言葉の力でみなさん笑顔になって帰っていきます。

お金持ちになるとか、会社で偉くなるとか、有名になるとか、そんなことを目標にしている人がいますが、本当はどうでもいいことです。
なぜなら、みんなが獲得できないものは本当にいいものではないからです。

自分の役割を見出してそこに全力を尽くす。
自分のことよりも他人のことを思う。
笑顔で人と接する。
自分の家族を大事にする。
自分より困っている人を助けてあげる。
この世を去る時に贈り物を残していく。

本当にいいものはゴミ箱の中、街の中にあります。