どうせなるようにしかならない

明日この世を去るとしても今日の花に水をあげなさい 樋野興夫

仕事のこと、お金のこと、健康のこと、家族のこと、将来のこと、これから先も心配や不安が尽きることはないでしょうが、自分でコントロールできないことに一喜一憂していると身も心も疲れてしまいます。
やるだけのことをやって、あとのことは心の中でそっと心配しておけばよい。
「どうせなるようにしかならない」といった勝海舟の言葉に倣い、鷹揚で胆力のある生き方をしたいものです。

私たちが悩むことは、たいていどうでもいいことです。
本当に大切なことは極めて少ない。
私たちは日々どうでもいいことに一喜一憂させられているのです。
インターネットや医学書で病気のことを調べまくる患者さんがいます。
ところが、いくら調べても心が完全に満たされることはありません。
情報や知識は外面的なものです。
外面的なもので私たちの心を満たすことはできません。
その満たされない部分を抱えて多くの方ががん哲学外来を訪れます。
がんの再発を心配しすぎて、何も手につかなくなった人もいます。
こうした患者さんへの言葉の処方箋は「全力を尽くしたら、あとは心の中でそっと心配するくらいの方がいいよ。なるようにしかならないから」です。