本当にいいと思えることはパッとやる

明日この世を去るとしても今日の花に水をあげなさい       樋野興夫

人に相談ばかりしていたら「いいこと」は始められません。
本当にいいと思えることは誰にも相談せずにパッとやったらいい。
がん哲学外来を始めようと思ったとき、私は信頼のおける2人の医師に相談しました。
すると2人とも「それが実現したら快挙」と高く評価してくださいました。
それで、すぐにがん哲学外来をスタートさせることにしたのです。

太い血管が切れると人は30秒で死に至ります。
そのような局面で人に相談したり、迷っている時間はありません。
この時に求められるのは速効性と英断だけ。
人に相談せずに始めるにはそれだけの覚悟が必要です。
自分を弁護するような態度をとると相手につけ込まれます。
また始めた動機がなんであったかも重要です。
自分のためにやっているのか、人のため、あるいは社会のためにやっているのか。

自分には何もできないと思うなかれ。
どんな境遇にあってもできることがある。
たった1つの塩基ががん化の原因をつくるように、1人の人間が地球を動かすことはできる。
私はそう信じています。

本当にいいことをやっていれば、必ず同好の士が現れます。
どれだけ言葉をつくしても人は簡単に動いてはくれません。
行動して初めてその気になってくれます。