教育的在宅緩和ケア

なんとめでたいご臨終  小笠原文雄

ある日のこと、吉永さん(40代 男性 胃がん)の入院先からこんな電話がかかってきました。
「腸閉塞の吉永さんが退院を希望されています。腸閉塞の痛みを取るためサンドスタチンを皮下注射していますが、退院後も継続が必要です。吉永さんの近所にはサンドスタチンを使える医師がいませんでした。患者さんの家から小笠原内科は30キロほど離れていますが、お願いできますか?」
「お受けできます。ただし少し遠方なので、吉永さんの近所の医師と連携して、教育的在宅緩和ケアで進めていきます」

そこで連携できる医師を探すと、大塚医師が見つかりました。
「大塚先生、すみませんが教育的在宅緩和ケアで連携してもらえませんか」
と私がお願いすると、大塚医師はこう言いました。
「いいですよ。でも私は、サンドスタチンや在宅ホスピス緩和ケアの薬の使い方はあまり経験がないので、困ったときは小笠原先生に教えていただかなくてはなりません。だから私は、お手伝いという形でもよろしいでしょうか」
「分かりました。では小笠原が主治医、大塚先生がサポート医と言う形で吉永さんを支えていきたいと思います。よろしくお願いいたします」