ピンピンコロリとは・・

なんとめでたいご臨終  小笠原文雄

本多さんは突然寝たきりになります。
そこで私は、自宅に集まっていた大勢の親族に「そろそろお別れですよ」と伝えました。
すると、これまであったことのない親族が「おかしいじゃないか。3日前までは元気だったのに、変な薬を飲ませたんじゃないのか。カルテを見せろ」と言い出しました。
医療訴訟を起こさんばかりの剣幕に驚いた私は、これまでの経過を説明しました。
「そもそも退院する時に、いつ死ぬかわからないと言われていたんです。その本多さんが家に帰れて、2週間も笑顔で元気に過ごせたこと自体が、奇跡だと思いませんか。でも、元気になったからといって、病気が治ったわけではないんです。あのまま病院で最期まで苦しんで亡くなる方がよかったですか? ピンピンコロリとは、こういうものなんですよ」

あらかじめ私が説明していた家族は納得していたのですが、周りの親族はまだ納得がいかない様子でした。
その言い訳の3日後、本田さんは希望死、満足死、納得死をされました。

時々、元気じゃない末期がん患者がピンピンコロリなんておかしいじゃないかと言う人がいます。
しかし、在宅ホスピス緩和ケアを受けた末期がん患者さんの多くは、病気が治ったと錯覚するくらい元気になり、歩けなくなると3日~7日で旅立たれます。
亡くなる直前まで、元気でぴんぴんと活動し、亡くなる時はコロリと旅立つ、これがピンピンコロリなのです。