手術至上主義は患者さんにも

私はガンで死にたい 小野寺時夫

切除するにも最小限にとどめ、患者さんの負担を少なくするようになってきている今日、昔のように進行がんを無理に切除することは減っているのでしょう。
しかし、ホスピスに来る患者さんに接していると、相変わらず高度進行がんに対して無意味と思われる手術を受けた方がまだ驚くほど多いのです。

一方、「手術至上主義」は患者さんにも言えます。
医師が「がん切除は無理だと思う」と話すと、「どうしても切除できなければ諦めるから、手術だけはしてみてほしい」と言う人がいますし、時には、手術をしてくれる他の病院に転院する人もいます。

ある程度以上に進行したガンは、たとえガンを切除できても治ることがないのはもちろん、手術ストレスや後遺症で命を縮める危険があることを、患者さんもよく理解する必要があります。