手術も放射線治療も生存率は変わらない

近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠

医者は、治療の選択肢が手術だけではないこと、放射線治療でも生存率が手術と変わらないことなどをきちんと説明しなければいけない。
放射線ならば、食道が残るうえに、感染症の心配もないのです。
でも外科医は、そうは言わない。
切るのが仕事だから、自分の患者は切りたいのです。

小澤征爾さんや桑田佳祐さんは生還できたからよかったものの、がんもどきだったのに手術のせいで死んでしまったら、泣くに泣けません。
食道全摘術のような危険な手術は、する意味がないどころか命の危険があるのだから、すぐに廃止するべきなのです。
食道全摘術は戦後、麻酔技術が向上し、長時間の手術が可能になったことでどんどん行われるようになりました。
ただし、当初はどの施設でも、手術を受けた人の9割以上が1か月以内に亡くなるという、ひどい状況でした。
そのころに比べれば今はましになったものの、安全とは言えません。