役立つ3つの言葉

寿命が尽きる2年前 日下部羊

高齢者医療に従事するようになり、老いとか死の問題が身近になった時に役立ったのが、次の3つです。

欲望を抑えて、足るを知ることが大事。
よけいなことはせず、あるがままを受け入れる。
不安や心配は妄想だから、しても仕方がない。

人は何かを欲すると弱みが生じます。
いつまでも元気でいたい、若々しくありたい、ガンになりたくない、ボケたくもない、長生きしたい等々、それを求める気持ちが弱みになります。

新聞の人生相談でも、安易な励ましが目につきます。
「人生100年時代、まだまだこれから楽しめます」とか、「第2の人生、あきらめになる必要はありません」とか、前向きな発想は大事ですが、前ばかり見て足元がお留守になってもいいのでしょうか。
元気自慢、健康謳歌もけっこうですが、最後は必ず死ぬのですから、その時に備えて上手に最期を迎えるための情報も必要だと思います。

死を考えるのは感情的に受け付けられないと、拒否反応が起こる人もいるでしょう。
しかし、そうやって準備をせず、病院に行けばなんとかなるとか、お医者さんが救ってくれるはずなどと思って、自ら苦しい死を迎えた人があまりにも多いので、私は人に嫌がられながらも死のことについてしつこく書いているのです。