定期検診は必要?

近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠

日本では、職場で強制的に検診を受けさせられてしまうことがよくあります。
僕がいた慶応病院でも定期検診がありました。
以前はこの定期検診を、職員はほとんど受けていたものの、医者は半分くらいしか受けていませんでした。
必要だと思っていなかったということです。

でも、厚生省が厚生労働省になったころから締め付けが厳しくなって、検診を受けない人がいると、担当者が役人に責められるようになりました。
それで、受診率100%を目指そうなんていう紙が回ってくるわけです。
なぜこれほど強く検診を受けさせようとするかといえば、過労死問題があるからで、職員が過労死して裁判にでもなれば検診を受けさせていたかどうかが、問題になるからです。
会社が検診を強制するのは、社員のためというよりは労務対策なんです。

しかも、検診でがんが見つかった場合、全く自覚症状がなくても、放っておくのは気持ちの上でもとても難しいのです。
知識があっても、自分のこととなると治療を受けてしまうのは、筑紫哲也さんのケースを見れば分かる通りです。
さらに、あなた自身が放置すると決めても、周囲の人たちが「何を言っているの、治療をしないなんて、とんでもない!」と騒ぎ立てます。
がんだと言われて放置を選ぶのは、本当に難しいことなのです。

したがって、最善の方法は検診を受けないことです。
検診を受けなければ、がんと診断されることもありません。
大体人間の身体なんて、精密に検査をすれば小さながんや病気は見つかるものなんです。