呼吸苦に即対処

私はガンで死にたい 小野寺時夫

急に発生する呼吸苦は、末期がん患者さんに時々あり、そのことを医療スタッフも患者さんも家族も知っておくべきでしょう。
ガン末期には、いろいろな要因で呼吸苦が起こります。
抗がん剤や放射線治療の副作用による肺線維症、体力低下による肺炎、食べ物が誤って期間の方に入ったための誤嚥性肺炎、多量の胸水や腹水などです。
こういう場合は、突然に呼吸苦が起こることはなく、原因に応じた処置や適量のモルヒネで呼吸苦を緩和できます。

呼吸苦に対する治療法は、基本的には酸素吸入、モルヒネの急速増量投与、病状によっては多量のステロイドホルモン併用、最終的には麻酔薬や鎮静作用の強い抗精神病薬を用いる必要があります。

肺がんや肺転移の人に激しい呼吸苦が突然に起こり、患者さんは居ても立ってもいられなくなることがあります。
この場合は、酸素吸入量の増加やモルヒネの注射速度を速める程度では効果がなく、間髪入れずに麻酔薬を静脈注射する迅速な対応が必要です。
この場合は激しい呼吸苦があっても、急に脳の酸素委が不足するため、間もなく感覚能力も低下し、長い間苦しみ続けることはなく、意識がなくなります。
患者さんの状態にもよりますが、麻酔薬や鎮静作用の強い向精神病薬でしばらく入眠状態にした後、投与を中止すると呼吸苦が軽くなっていることもあります。