人が死を恐れる理由

私はガンで死にたい 小野寺時夫

死とは、幸運にもこの世に生を受け、人それぞれが苦しみも楽しみも多かった何十年かを生きて、生まれる前に戻ることです。
そして、すべての人が死ぬときに苦しみたくないと願っているのです。

人が死を恐れる理由は2つあると私は考えています。
1つは、家族、友人、社会から離れて、この素晴らしい世界から永久に消え去る無念さ。
もう1つは、死ぬときに苦しむのではないかという恐怖です。

どうすることもできない運命の下で、誰もが精いっぱい生きて死を迎えるのですから、死ぬときは誰でも苦しまず穏やかな死を迎えるべきです。
医療スタッフが、患者さんの身体的苦痛を十分とる配慮をしていれば、いよいよ死ぬときに苦しむことはほとんどなく、すべての人が安らかに永遠の眠りにつけるのです。

日本の医師、看護師、薬剤師にも「患者さんに苦痛を与えるのは罪悪だ」との自覚が必要なのです。