副作用の強い抗がん剤治療で

私はがんで死にたい 小野寺時夫

私の見解では、抗がん剤治療を受けたことのあるホスピス入院患者さんでの検討などを総合すると、固形ガンに明らかな有効例は何十人に1人というように極端に少ないと思っています。
再発ガンを含む高度進行がんも、近年は抗がん剤治療で生存期間が著しく延長したといわれます。
しかし、種々の画像診断法が進歩して、以前よりも格段に早期診断例が増えています。
また、病状が進行して口から食物を食べられなくなっても、中心静脈栄養や流動経口剤の使用が日常的になって、良好な栄養状態を維持できることによる生存期間の延長も無視できないのです。
食べられなくなって余命1~2か月と言われた患者さんが、ホスピスに入院して痛みや吐き気がなくなると、徐々に食べられるようになって、数か月から半年以上も生きられることが珍しくありません。
このように、抗がん剤治療だけで生存期間が延長したとは簡単には断言できません。

ホスピス入院患者さんについての私の調査では、95%以上の人が明らかな効果が認められないのに、副作用の強い抗がん剤治療を受けていたことになります。
再発ガンや高度進行がんに対して、入退院を繰り返しながら副作用の強い抗がん剤治療を数か月~半年続け、いよいよ末期状態になってホスピスを受診する人が大変多いのです。