固形ガンに抗がん剤は延命効果はない

私はガンで死にたい 小野寺時夫

抗がん剤が効くかどうかが問題になるのは、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、肝臓がん、すい臓がん、前立せんがんなどの「固形ガン」と言われるがんです。
近藤先生が、延命効果なしと指摘しているのも、この固形ガンについてです。
抗がん剤に積極的な医師は効果があったとか、がんの進行をある程度抑えていると言いますが、効果を勘で話している医師が多いように思えてなりません。
あるテレビ番組で、がん専門の院長で化学療法の専門家が、がんの治療は手術の時代から化学療法の時代に変わりつつあると述べたのを聞いて、私は強い反感を覚えました。
その病院のある幹部医師にこのことを話すと、化学療法には抗がん剤効果のデータが乏しく、印象だけの話が多いと院内でも批判が多いということでした。

私が勤務しているホスピスに来る患者さんの8割以上が何らかの抗がん剤治療を受けています。
抗がん剤がどの程度効いているかを調査するため、抗がん剤治療を受けた患者さん約300人のうち、抗がん剤が効いたか否かの記載のある160人を対象に検討しましたが、有効例はわずか7例だけでした。