抗がん剤

私はガンで死にたい 小野寺時夫

効果が明らかでないからと、次から次へと抗がん剤を変えて投与されることが多いのですが、ホスピスの入院患者さんの調査では、抗がん剤を変えたら効いたという例は1例も見当たりませんでした。
効果の明らかでない抗がん剤治療をむやみに続けることには、いくつもの問題があります。

抗がん剤治療を受けなければ副作用で苦しむことなしに、ある程度の状態で生活できる時期があるのに、長くないこの貴重な時期を失うことになります。
痛みの緩和は可能ですが、抗がん剤による手足のしびれの緩和は困難で、亡くなるまで続くことが多いのです。
味覚がなくなり、食べる楽しみがなくなります。人生の終末にしては悲しいことです。
衰弱している人は、抗がん剤治療により死期が早まる危険性があります。

最近は、高齢者にも抗がん剤治療を積極的に行う風潮がありますが、固形ガンはもちろん、抗がん剤が有効な悪性リンパ腫や白血病でも、高齢者には副作用が強く、治療成績は一段と低くなります。