余命1~2か月 退院したら元気になって喫茶店に・・・

なんとめでたいご臨終 小笠原文雄

「あと1~2か月です」
病院の医師から余命宣告を受け「家に帰りたい」と願っていた安藤さん(87歳 女性)
ところが、嫁いだ3人の娘の意見が分かれ、安藤さんは退院することができませんでした。
それから1か月が経ち、安藤さんはとうとう生ける屍になりました。
死ぬ間際になっても虫の息で「家に帰りたい」と訴える母に、娘たちも「これが最後の願いになるから」と、ついに退院させることにしました。

寝たきりの状態で退院してから3か月後、なんと安藤さんは喫茶店に行けるほど元気になっていたのです。
すぐそこまでお迎えが来ていたはずの安藤さん、なぜそんなに元気になったのか、とっても気になりますよね。

ある日の訪問診療で、私は安藤さんに聞いてみました。
「なんでそんなに元気になったの?」
「私はね、家に帰ってこられてうれしくて仕方ないの。病院ではひっきりなしに看護師さんやお医者さんが来てくれたけど、誰とも心が通わなかった。人は大勢いるのに孤独死しそうだったんです。でも家に帰ってきたら、娘や看護師さんやヘルパーさん、毎日誰かひとりは来てくれる。1時間もいてくれる。おしゃべりもしてくれて心も通う。寝る前には”明日は誰が来てくれるのかな” 朝起きると ”今日は誰が来てくれるかな” って考えるだけでうれしくて、心が暖かくなって・・・。そう思って過ごしていたら、喫茶店迄行けるようになったんですよ」