グリーフケア

なんとめでたいご臨終  小笠原文雄

お別れの時には、旅立つ人も見送る人も様々な想いがあるでしょう。
だからこそ、在宅ケア医は娘さんの到着を待って、
「ああ、よかった。お父さんの最期に間に合ったねえ。まだ身体も暖かいから、お別れをしてあげてね」
と話して、最期の時間をつくってあげることで、ご家族はその死を受け入れられるのです。
そうしたら、きっと娘さんが後悔の涙を流すことはなかったでしょう。
私は落ち込む清水医師を励ますように言いました。
「娘さんにお昼に行くって約束したから、清水先生も一緒に行こうよ」

お昼になり、清水先生と一緒に行くと
「先生! 本当にありがとうございました」
と娘さんが私たちを笑顔で迎えてくれました。
朝の電話では泣き崩れていた娘さんが、涙から笑顔に変わっていたのです。

グリーフケアとはこういうものなんでしょうね。
グリーフケアが必要な時には、涙を笑顔に変えるスキルを高めることも大切なのではないでしょうか。