ガン哲学外来

明日この世を去るとしても今日の花に水をあげなさい 樋野興夫

2008年1月、医師とガン患者の隙間を埋めるための試み、ガン哲学外来をスタートさせました。
場所は、順天堂大学医学部付属病院。

ガン哲学外来では、暇気な風貌をした私が、患者さんやその家族に「偉大なるおせっかい」をやきます。
そこにはカルテも聴診器も紙もペンも存在しません。
面談中は1人の医者としてではなく、専門的知識を持った1人の人間として患者さんと向き合います。

ガン哲学外来では、薬を処方したり、医学的な治療は一切しません。
その代わり、面談に来られた患者さん1人ひとりに「言葉の処方箋」をお出しします。
「明日この世を去るとしても今日の花に水をあげなさい」もその1つです。

そこには次のような意味が込められています。
「命が一番大事」とは考えない方がいい。
命は尊いことは確かですが、「自分の命よりも大切なものがある」と思った方が、私たちは幸せな人生を送ることができるようです。
命が何よりも大切と考えてしまうと、死はネガティブなもの(命の敵)になり、あるときを境に死におびえて生きることになります。
命よりも大切なものを見つけるために、自分以外のもの、内から外に関心を向けてください。
あなたに与えられた人生の役割や使命が見えてくるでしょう。