ガンは見つかる大きさになるまで何年もかかる

寿命が尽きる2年前 日下部羊

ガンという病気は、まず1個の細胞がガン化することからはじまりますから、それが次々と分裂して、画像診断や内視鏡で見つかる大きさになる(最低でも5ミリ程度必要)までには、何年もかかるのが普通です。
それまでは、いくら検査しても見つかりませんから、検査で異常なしといわれても、体内にガンを持っている人は世の中に大勢います。

ちなみに、がんの再発というと、また新たに発生したように聞こえますが、そうではなくて、もともと転移していたガン細胞が、増殖して画像診断で見える大きさになっただけです。

患者さんにしてみれば、完全にガンを取り除いてほしいと思うでしょうが、徹底的な治療をすると、かえって副作用で命を縮めてしまう危険もあるので、ガンは残っているけれど、死なないという状況を目指すようになっているのです。

少し古いデータですが、2009年に行われた東大病院の調査で、「望ましい死を迎えるために、最後まで病気と闘うことが必要か?」と訊ねたところ、ガン患者さんの約8割が必要と答えたのに対し、医者は約2割しか必要と答えなかったそうです。
それは、患者さんは治療=よいことと思っているのに対し、医者は治療=やり過ぎるとよくないと思っているということです。