がん検診

寿命が尽きる2年前 久坂部羊

がん検診にもメリットとデメリットがあります。
メリットは、ガンの早期発見で命が助かる人がいるということです。
デメリットは、ガンではないのに、疑いを指摘され、不必要な検査で時間とお金と体力を無駄にさせられ、無用のストレスを受けることです。
公費の無駄もあります。
検査被爆による発がんの危険性もあります。
また、検診で異常なしという結果が出たため、安心してしまって、症状があるのに病院を受診せず、手遅れになる危険性もあります。
もちろん、検診での見落としもあり、逆に放っておいても命にかかわらないガンを見つけて、手術をせざるを得なくなる過剰診断の危険もあります。
また細胞レベルでガンが発生していても、最低でも5mmくらいの大きさにならないと発見されないので、検診で見つからなかったといって、ガンがないとは言い切れないこともあります。

日本は検査被ばくによるがん患者が、世界の中でダントツに多い(アメリカやイギリスの3~5倍)というのは、医療界ではよく知られた事実です。
私はがん検診を一度も受けたことがありませんが、その理由はいくつかあります。
検診を受けて異常なしなら受ける必要はなかったということですし、異常ありで要精密検査などという結果が返ってきたら、面倒なうえに心理的にも悪影響があります。
それで命が助かるかもしれないじゃないかという人もいるでようが、ほんとうにそうでしょうか。
日本対ガン協会の資料(2017年)によれば、大腸がん検診では、1万人の内、異常を指摘されたのが607人で、ガンは17人。
乳がん検診では、異常を指摘された人が447人で、ガンは24人だったそうです。
判定する医者は見落としを恐れますから、どうしても「要精密検査」の判定が増えてしまいます。
そうなると、改めて病院に行かねばならず、行ってもすぐに検査はしてもらえず、まず予約を取って、検査を受けても結果は後日といわれ、毎回長時間待たされ、検査でシロと分かるまで、あれこれ悩み、日常生活が乱されることになります。