トムとアン 5

トムとアンは、そろそろ子供が欲しいと考え始めました。
同時に2人は、大きな将来のために是非とも大学院レベルの勉強をしたいとも感じていました。
そこで2人は、ともに仕事を辞め、ハーバード大学の大学院「ケネディ・スクール」で1年間履修することに決めました。

ところで、肝心の彼らの「台所事情」はどうだったのでしょう?
トムとアンは、まず自宅を購入価格より25,000ドルの損を覚悟で売却しました。
2人共仕事を辞めたので収入は0、アンのお腹には赤ちゃんが宿っていました。
今あるお金で、1年間を何とか凌ぐしかありませんでした。

娘のエリザベスが誕生すると、トムはさらに社会福祉の分野で尽力していきたいという意思が固まってきました。
2人はプログラム終了後、自分たちの希望が叶って海外での福祉プロジェクトに参加することにしました。
でも同時に地元から、郡の副行政官のポストという魅力的な仕事の誘いが舞い込みました。
いい給料、責任ある地位、200人のスタッフ・・、将来はきわめて安定しています。
でもトムは、この誘いをあっさりと断りました。
銀行口座を見ると1,000ドルの現金しかありませんでしたけど。