1~2割の患者さんのがんが小さくなったら効く?

近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか? 近藤誠

医者はよく「この抗がん剤はこのタイプのがんに効く」とか、「効きがいい」などと言います。
そう言われたら、あなたはどう思いますか?
普通は「がんが治る」と思うか、「完治しなくても、このまま放っておくよりはずっと長生きできる」と思うのではないでしょうか。
でも、医者の効くはそのような意味ではありません。

医者が「抗がん剤が効く」と言ったら、それはガンが小さくなるということなのです。
しかも、小さくなり方は人によって違います。
ほとんど消えてしまう人もいれば、全然小さくならない人もいます。
そして、小さくなったがんは、必ずまた大きくなります。
どうして、そんな効かない薬が使われているのでしょうか?

あらゆる薬は効くかどうか、安全かどうかを、厚生労働省が審査して、大丈夫だと認められると医療に使えるようになります。
抗がん剤も、当然この審査を受けます。
ところが抗がん剤は、1~2割の患者さんのがんが小さくなれば審査を通ってしまうのです。
しかも、がんが治ったり、患者さんの寿命が延びたりする効果については、全く調べなくてもかまいません。

しかし、それはおかしな話です。
そんな薬を効くといっていいのでしょうか。
それで、がん治療の医者たちからも「それはおかしんじゃないか」「延命効果のあるなしを見るべきじゃないのか」という声が上がったことがありました。」
ところがこの話は、いつの間にか立ち消えになってしまいました。
それは、延命効果のあることをはっきりと示せた抗がん剤がなかったのです。