1人の人物を3分間ほめちぎる

明日この世を去るとしても今日の花に水をあげなさい 樋野興夫

評価には良い部分を見て足していく方法と、悪い部分を見て引いていく方法がありますが、たいていは欠点を見出すことに力点が置かれています。
減点法に慣れてしまうと、相手を褒めることが苦手になってしまいます。
若者たちが尊敬できる人物を持てなかったり、年長者や先輩たちを敬う心が薄れてきているのは、なんでも評価の対象にしてしまう時代性が影響しているのかもしれません。

私は人の面接を頼まれることがあります。
まず書類審査があって、次が面接です。
私は書類審査はあまり重要視しません。
私は面接重視です。
会って話を聞くことで、その人物が本物かどうかわかります。
面接ではこんな質問をします。
「あなたはご両親、お父さんでもお母さんでも構いませんので、良いところを3分以内でお話しください」
すると「お父さんは(お母さんは)立派な人です」などと始まって、具体的にどこがどのように立派なのか本題に入っていきます。
ここではほとんどの人が「私の両親は本当に立派な人。しかし・・・」と続けます。
100人に聞けば99人がそうなります。
3分間、ほめちぎれる人は本当に少ない。
おそらく観察力を試されていると思うのでしょう。
いいところばかり話したら、自分の観察力を疑われるかもしれない。
だから良い部分ばかりでなく、悪い部分も話しておこうということなのでしょう。
私が見ているのはこの部分です。
私は、1人の人間を3分間ほめちぎれる人物を高く評価します。
誰かを尊敬するということはそういうことだからです。

心から尊敬できる人を持った人は幸せな人だと私は思います。