疲れたらお墓に行く

明日この世を去るとしても今日の花に水をあげなさい  樋野興夫

人生に疲れたらお墓に行くといい。
お墓に行って人生のむなしさを知るといい。
人生を死から見つめなおすことで忍耐が生まれます。
忍耐ができると品性が生まれます。
品性が持てると生きる希望が湧いてきます。

どんなに偉い人でも必ず死にます。
死ねば座布団1枚分の墓場しか残りません。
かつて私は人生に疲れると多摩霊園を散歩することにしていました。
生きているときに、どんなに華やいでいても、死ねば座布団1枚程度のお墓に入ることになります。
私が新渡戸や南原らの本を何度も繰り返し読むのは、彼ら先人たちの会話を立ち聞きするためです。
すでに亡くなった人たちですから、直接教えを乞うことはできません。
ですが、本を通じて彼らの話を立ち聞きすることはできます。
実は、お墓に行くのも同じ理由からです。

座布団1枚分しかないお墓を前にして、これからの自分の人生について考える。
たとえ疲れていたり、悩みごとがあったりしても、「誰でも死んだらこうなる」と改めて知ることで不思議と心が癒されていきます。