母への恋文

投稿より

お母さん、今どこで、どこの空から私たちを見守ってくれているのですか。
遠く大きな空は、私には大きすぎます。
そちらの居心地は、どうでしょうか。
相変わらずお父さんは手がかかりますか。
五十歳を過ぎても、まだ、お母さんの面影から抜け出せない親離れできていない娘です。
両親のもとで過ごした二十六年間、そして飛びだって三十年が過ぎました。
巣立った年月の方が長いのに、どうしてもお母さん、あなたのことが忘れられません。
この彷彿と湧き出るあなたへの想いは、何に例えたらよいのでしょう。
これが親子の絆というのでしょうか。

今にもあなたの優しい静かな笑い声が、すぐそこから聞こえてきそうです。
その優しい声を袋に丸ごと包み、私のすぐそばに置いておきたいです。
五十歳を過ぎた私が、こんなことを言うのはおかしいでしょうか。
でもいいんです。
私のお母さんへの想いは薄れることなく、年月とともに鮮明に蘇ってきます。
世の中に、宇宙に、こんなにも尊い大事なものが他にあるのでしょうか。

春はもうすぐです。
お母さんの好きだった梅の花が、ほんのりとした香りを漂わせて咲いています。