朗らかに生き笑顔で旅立つ

なんとめでたいご臨終  小笠原文雄

オギャーと生まれた赤ちゃんは、寝て過ごし、這い這いをし、よちよち歩き、やがて歩き出し、走れるようにもなります。
やがて旅立ちが近づくと、よちよち歩きになり、赤ちゃんと同じように這いずり、ついには寝たきりになります。
この自然の摂理に沿って生きて、死ねることができたとき、苦しみは少ないようです。

しかし、今の日本はこの摂理に逆らった”長寿国”に過ぎないと私は思っています。
高度医療や救命救急が必要な方だけが病院で治療を受け、多くの人は自宅などの癒しの空間で自然の摂理に沿って生きることが望ましいと思います。
朗らかに生きて笑顔で旅立つ、「めでたいご臨終」を迎えるためには、暮らしたいところで、心を込めた看取りをしてくれるケアチームによる緩和ケアを受けることが近道であることをお伝えしてきましたが、最期にもう1つだけお伝えしたいことがあります。

人はひとりで生きていけません。
最期の時も一人ではないのです。
必ず誰かとかかわり、お世話になったり、協力し合ったり、そういったコミュニティの中で生きています。
だかたこそ、専門職だけが”死”と向き合い、関わるのではなく、地域全体で思いやりのコミュニティつくりができる日本になることを望んでいます。