最期まで家にいたいという願いが叶わなかった・・

なんとめでたいご臨終  小笠原文雄

今回は、最期まで家にいたいという願いが、家族の反対によって叶わなかった事例です。

光代さん(85歳 女性 認知症)の妹は、小笠原内科の在宅医療を受け家で旅立たれました。
その時、妹を介護した光代さんは、自身も通院できなくなると、妹のように最期まで家で暮らしたいと、小笠原内科の在宅医療を受けることにしました。
ところが、認知症の光代さんに対し、親族はグループホームの入所を勧めていたのです。
一人暮らしの高齢者が家で亡くなった場合、放置したと言われるのではと世間体を気にしたり、家で何かあったらと心配する親族も多いのです。
そんな親族に対し、朗らかな光代さんは「大丈夫、お仏壇に手を合わせたいの」と毎回拒否しました。

ある日のこと、ヘルパーが光代さんの家を訪ねると、転倒した光代さんが足の痛みを訴えて動けずにいました。
慌てたヘルパーが、光代さんの義理に妹に電話をすると、飛んできた義妹さんは救急車を呼び、光代さんを近くの病院に搬送してしまいました。

小笠原内科では、何かあったときには救急車ではなく、まずは小笠原訪問看護ステーションに電話してくださいと家族やケアマネージャーに伝えています。
しかし、ヘルパーにまで光代さんの意思がしっかりと伝わっていなかったことが、光代さんの人生の悲しい結末の引き金となってしまいました。