安らかに死を迎えるための3つの心がけ

私はガンで死にたい 小野寺時夫

大手術後、間もなく再発して悲惨な状態になる人がいます。
また長くない貴重な余命を、副作用が強く効果のない抗がん剤治療で苦しみ通したり、高額の費用をかけて効果のない民間療法や免疫療法にすがり続けて死を迎える人が多いのです。
それが自己選択の結果とはいえ、人生の最期を有意義に過ごせなかったことが私にとっては哀れでなりません。

苦しみが少なく安らかに死を迎えるには、次の3つの心がけが大切です。
① 高度進行がんには治療を受け過ぎないこと。
② 痛みなどの身体的苦痛を我慢せず、医療スタッフに正直に何度も訴えて十分にとってもらうこと。
③ 最期が迫っていることを受け入れること。そうでないと、精神的苦痛や不穏が最後まで続きます。

私は57歳の時、咽頭がんになったとき、生きているうちに登山、野菜つくり、バイオリン、末期がん患者の医療をやりたいと思い、そのすべてをやりました。
ところが、私の方が妻より早く「がん死」するだろうとの予想がはずれ、妻に先立たれて高齢になったのですから、「ポックリ死」でもいいのかもしれません。
それでもいよいよ余命が短いとわかったら、娘たちにも話したいことがあり、山歩きの仲間や友人との宴会をもっと頻繁にして、親しい人にお別れの言葉を述べたいのです。
だから、私はガンで死にたいと思っているのです。