リー脳症のかわいい姉妹

なんとめでたいご臨終  小笠原文雄

紗奈ちゃんと愛ちゃん(9歳 女児 リー脳症)は、リー脳症を患っているかわいい姉妹です。リー脳症というのは、現代の医学では治療法がまだ確立されていない難病で、精神発達の遅れが進行したり、筋肉の障害、さらには嚥下・呼吸障害などを引き起こします。
2人は同じリー脳症ですが、妹の愛ちゃんは重度です。

愛ちゃんは、生後11か月までは、あやすと笑ったり、おもちゃで遊んだり、つかまり立ちをしていました。
ところが生後12か月のころ、あやしても笑わなくなり、1歳9か月になると、這い這いやつかまり立ちをしなくなります。
そこで母親が病院に連れていくと、リー脳症と診断され、入院することになったのです。

ある日、愛ちゃんの主治医から”小児の在宅医療をしてほしい”と紹介状が届き、私は訪問看護師数人と一緒に、愛ちゃんが入院している病院に行きました。
「はじめまして。主治医の朝倉と申します。患者さんは、長谷川紗奈ちゃん11歳と愛ちゃん9歳の姉妹です。2人とも入院しながら養護学校に通学し、お母さんは毎日病院に寝泊まりしています。今回、お母さんが娘とお風呂に入りたいからと退院を希望されました。これまで通り、こちらが主治医として治療を進めていきますが、小笠原先生、家でのフォローをお願いします」
「はい、僕は小児の患者さんは初めてなのでいろいろ教えてください」