ホスピス利用の問題点

私はガンで死にたい 小野寺時夫

私自身のことを考えると、自宅で最期を迎えることは難しいので、施設で死を迎えることになるかもしれません。
施設ならば一般病院ではなく、もちろんホスピスを希望します。
ホスピス医としてホスピスの良さをしっているからです。
一般的には、ホスピスにも問題点はあります。
ホスピスはどの地域でも、誰でも利用できるほど多くはありません。
入院まで待つ期間が長く、希望しても利用できない人がたくさんいます。
医療費は高額療養費控除で上限があり一般病院と全く同じですが、個室料がかかる場合が多いのです。

ホスピスの多い東京では「有名病院のホスピス」を希望する人がもいるようですが、有名病院のホスピスが特に優れているとは思いません。
例えば、ある有名なホスピスに入院中の患者さんが重症に近づいてきたら、医師から「入院から2か月になったので他の病院に移ってほしい」と言われたそうです。
その家族が私の勤務するホスピスに外来受診したことが2度ほどありました。

ホスピスの医療スタッフの悩みは、重症に近い患者さんの入院が多いことです。
意識も混濁しかけているような重症の患者さんは、目的の緩和ケアが十分できずに、1週間前後の短期間で亡くなる場合が多いのです。
一般病院が抗がん剤治療や延命治療をやりすぎ、重症に近づいてから紹介してくるためです。