ホスピスとは

私はがんで死にたい 小野寺時夫

ホスピスは、余命6か月以内と思われる人を対象に、痛みなど身体的苦痛を十分に取り、長くない余命をできるだけ良い生き方ができるようにお世話する施設です。
在宅で死を迎えることが困難な方に最適です。
ホスピスで行うことの第一は身体的苦痛の緩和です。
がんが末期に近づくにつれて、痛み、呼吸苦、吐き気などの苦痛が出ることが多いのですが、これを十分緩和する努力をします。

医師が疼痛緩和の技術を身につけるのに少なくとも3年位の経験は必要だと思います。
技術を習得した医師であれば、90%位の苦痛緩和ができます。
患者さんには身体的苦痛とともに精神的苦痛がありますが、身辺のお世話をできるだけよくして、及ばずながら、それもできるだけ緩和するよう努力するのが第二の目的です。

ホスピス病棟に転院してきた人の多くが数日たつと「ここに来てよかった」といいます。
実際、アンケート結果でも80%以上がホスピスに来てよかったと言います。
残りの20%近くの多くは、重症になって入院して2~3日で亡くなった場合です。

患者さんの葬儀の後、あるいは、行事が一段落ついた49日が過ぎたころ、ホスピス病棟にお礼を述べに来る家族が大変多いのです。
一般病棟で亡くなった人の家族に、病院の前を通るのも嫌だという人が多いのとは対照的です。