やさしさって・・

 

いのちの言葉 精神科医 なだいなだ

「じゃあ、30万円のボーナスをもらった看護師は、あなたに何をしてやったのですか?」と聞くと、「あの人は心が優しくて、私が風邪をひいて頭ガガンガンしていたときに、枕元にやってきて額に手を当てて、これではつらいだろうからと、氷枕をつくってきてくれた」と言います。
そればかりでなく、ちょうど夕飯時になって、食堂に降りていこうとすると、そんなに熱があるのに食堂にいかなくてもいいからと、食事を持ってきてくれて、さらに食べようとしたら、固いものを食べたらよくない。明日からはお粥を出すようにするけれど、今日は私が煮てきてあげるからと、やわらかく煮てきてくれた。先生と看護師さんとどちらに30万円やりたいか?」と聞かれて、「私は彼女にやってくれ」と素直に答えましたね。

そのときから、患者さんの話しを楽しみに聞くようになりました。
そして私は初めて、患者さんの視点から自分のやっている仕事を見るようになったのです。