過酷な状態になると脳内モルヒネ物質が分泌される

大往生したけりゃ医療とかかわるな 中村仁一

死に際になると、呼吸状態も悪くなります。
呼吸というのは、空気中の酸素を取り入れて、体内にできた炭酸ガスを放出することです。
これが充分にできなくなるということは、1つには酸素不足、酸欠状態になること、もう1つは炭酸ガスが排出されずに体内に溜まることを意味します。

酸欠状態では、脳内にモルヒネ物質が分泌されるといいます。
柔道に締め技というのがありますが、あれで落とされた人は、異口同音に気持ち良かったといっています。
酸欠状態でモルヒネ物質が出ている証拠だと思います。

このように、死というのは自然の営みですから、そんなに過酷ではないのです。
痛みや苦しみもなく、不安や恐怖や寂しさもなく、まどろみのうちに、この世からあの世へ移行することだと思うのです。