知らぬが仏

寿命が尽きる2年前 日下部羊

ガンは上皮細胞が悪性化したもをいうのであって、それ以外の細胞が悪性化したものが肉腫と言います。
子宮の粘膜が悪性化したものが「子宮がん」で、子宮の筋肉部分が悪性化したら「子宮肉腫」となります。
血液細胞が悪性化した場合は「白血病」ですし、リンパ球が腫瘍化して悪性化したら「悪性リンパ腫」になります。

がんの発生については、突然変異説、放射線説、刺激説、発がん性物質説、ウイルス説、遺伝説など、さまざまな説が提示されましたが、いずれも正しいのであって、本当の答えはDNAの変異ということになります。
すなわち、突然変異や放射線等によって、DNAに特定の変異が重なると、細胞ががん化するわけです。
また、DNAの変異は、細胞が分裂するときのコピーミスでも発生します。
分裂を繰り返せば繰り返すほど、ミスが起こる確率が高まるので、長生きをするとガンになる確率も上がることになります。
また、ガン予防であまり言われないのが、検査被ばくによる発がんです。
胃のバリウム検査やCTスキャンなどでは、かなりの量の放射線を浴びるので、それによってガンが発生する危険性があります。

病気を心配するあまり、長生きしても心配ばかりの人生だったということにもなりかねません。
「知らぬが仏」という言葉もあるので、何も知らない方がストレスも少なく、のんびり過ごせるかもしれません。
いろいろなことを知っている医者が、心配地獄に落ちないのは、予防にも治療にも限界があることを認識し、絶対安全は求めても無理と、ある種の達観と諦念を抱いているからでしょう。