母のおんぶで見た夜空

親のこころより 21歳女性の投稿

私は1か月前に子供を産んだ新米ママです。
私の目指している理想の母親って、実は私の母なのです。
特に心に残っているのは、高校の時のことです。

当時私は、誰もが認める優等生でした。
外見、成績、先生方からの評判もすべて良く、生徒会にも入っていました。
しかし、私はもともとそんなに頭の回転が速い方ではなく、テストも人の倍くらい勉強しないと平均点が取れないほど、要領の悪い生徒だったのです。
それなのに友達も先生も、私はテストで良い点を取って当たり前の生徒というふうにしか見てくれませんでした。
そういうイメージを押し付けられる「ストレス」と「プレッシャー」の中で、私はだんだんと勉強ができなくなっていきました。

それでも「勉強しなくきゃ、良い点を取らなきゃ」と頑張っていたとき、母は「頑張ってるね、すごいね」と、いつもあったかいコーヒーを持ってきてくれました。

私が勉強ができず途方に暮れていると、「今日は星がきれいだよ、気分転換しに行こう」と言って、やせっぽっちの母が、自分より体重のある私をおんぶして外に連れ出してくれました。
いつもなら「おんぶしてやる」と言われても、絶対に断っていた私ですが、なぜかその時は素直におぶさりました。
そのとき、母の背中で見た夜空も、涼しい風も、カエルの鳴き声も、ずっと心に残っています。

その時の情景を思い出すと、嫌なことがあった日も、不思議と落ち着くことができるのです。
私も子供に、母が私にしてくれたようにできれば、と思うのです。