頂上から下りてこい

がばいばあちゃんの口癖 島田洋七

漫才ブームの時は、私も随分売れました。
そのブームが5年くらい続いたんですが、あんまり忙しくて、頭がおかしくなってしまいました。
「もう、しんどい。やめたい」と思ったくらいです。
そうしたら、漫才ブームも衰え、みんな、だんだん人気がなくなってきました。

このとき、ばあちゃんに「ヒマになった・・」と言いました。
「何年、働いたんや?」
「五年!」
「ほな、五年休め!!」
私が疲れていたのを知っていたんでしょうね。
「人生山あり谷ありというやろ。お前はその意味が分かっていない。お前、売れて1回頂上へ行ったやろ。1回上がったんなら自分から谷に降りてこい!」と、ばあちゃんは言いました。
「人生山あり谷あり」というのは、人生には浮き沈みがありますよ、という受け身の意味だけじゃなく、自分から山を下りて谷に行かなければならないというんです。

「頂上という所は、長く居るところじゃない。記念写真撮ったら下りてこい。頂上に家が建つか。電気あるか。水道あるか。友だちおるか。山へ行けば行くほど、上には岩しかない。あんなとこ、住むとこやない!!」
「谷見てみい。谷はきれいな水が流れて、鯉も鮒も全部おるやろが。藻もあるし、動物も川に水を飲みに来るし、川の周りに家建やろ。これが普通や」