選択したのは自分

辛い気持ちが消えていく 斎藤茂太

「自分が好きで選択したこと」をあたかも「何かの所為でこうなってしまった」ように、すりかえて「自分はやりたくないことをやっているから力が発揮できない」という考え方が身についてしまってはいけない。
自分の人生で起こったことを他人や何かの所為にしてしまうと、その時は気持ちが慰められるかもしれないが、そういう考え方を煎じ詰めれば、「しょせん自分の力ではどうにもできない」ということであり、「自分は無力である」と認めることにもなる。
自分の能力や可能性を信じられないことくらい、つらいことはなかろう。

自分の力を認めている人は、「あの時選択したのは自分だから、その選択が正しかったと証明するためにも、今の仕事をがんばらないといけない」と考えることができる。

もちろん、誰でも間違いや失敗はあるのだから、その時の選択が間違っている場合もある。
「ああ、あの時の選択は間違っていたな」と気づいたときは、それを悔やんだりするのではなく、これからどうすれば良いかを考えればよい。