道中、ご無事で!

いつでも死ねる 帯津良一

これまで、1000人以上の患者さんの死に立ち会ってきました。
できるだけ静かに心を落ち着けて、「道中、ご無事で!」と、お見送りをしてきました。
私がお見送りをした方は、亡くなってしばらくすると、例外なく素晴らしい顔つきになります。
あんなに安心しきった顔になるのですから、死は決して怖いものではないということを、私は亡くなっていった患者さんたちから教えられました。

対談した養老孟子さんが、面白いことを言っていました。
死ぬということは、定年になって会社を辞めていくのと同じだというのです。
その人とはもう会えないけれど、どこかで生活しているわけで、そんなに悲嘆にくれることはないというわけです。