認知症には

70歳からの選択 和田秀樹

認知症は入力障害がメインですから、覚えていないことが多くなり、トラブルが起こったりしますが、すべてを覚えられないわけではありません。
忘れてはいけないことは、「メモ」をとるなどの手段を用いれば、簡単にカバーできます。
メモをとるのはアウトプットになり、脳のトレーニングになります。
認知症の初期症状の方には、私はメモをとることをすすめていて、その習慣がちゃんと身についた方は、多少ボケても問題なく仕事などをされています。

私が強調したいのは、認知症になることを誰も避けることはできないということです。
85歳くらいになれば、誰にもアルツハイマー型の変化が脳に起こるのです。
認知症は初期の場合、だいたい2割くらいの人がうつ病も合併しています。
ですから、セロトニンが脳内で増える薬を投与してうつ病をよくすると、如実に記憶力が回復する人が多いのです。
たとえ認知症であったとしても、男性ホルモンもセロトニンも有効です。

脳は10分の一の機能しか使っていない臓器ですから、ある部分が壊れても、別の部分を上手に使うことで補うことができたりします。
一方で高齢になると、使っていない部位は衰えが激しくなりますから、脳はさほど委縮していないのに、認知症が悪化している人もいるのです。